子どもの指導法

勉強しない子どもが勉強するようになる行動心理【5つの基本的欲求】

子どもが勉強しなくて困っている親御さん

「どうして子どもは勉強をしたがらないの?」
「子どもが勉強へ気が向くにはどうしたらいいの?」
「子どもが勉強するようになる方法を知りたい」

こんな疑問にお答えします。

勉強は言われても全くしないのに、ゲームは言われなくても進んでする。そして、好きなことは次々と覚えていく。その暗記力を勉強に活かしてほしい汗

このように思う方も多いのではないでしょうか?
私もそう思ってました。

今回は、子どもの行動メカニズムを選択理論心理学の研究から明らかにしていこうと思います。行動メカニズムを知ることができれば、子どもの主体的な行動を促進することができます。

私もこの行動メカニズムを知ってから、勉強嫌いの生徒でも勉強へ向くように促すことができるようになりました。それでは見ていきましょう~。

【前提】子どもを変えることはできない

多くの苦しんでいる方が「子どもを変えるにはどうしたらいいか?」を考えているように思えます。その考え方がストレスの原因だったりします。

選択理論心理学に基づいて、詳しく説明していきますね。

選択理論心理学とは

選択理論心理学とは、アメリカの精神科医ウイリアム・グラッサー博士が提唱した、人間の行動のメカニズムを解明した心理学です。選択理論は発表以来40年間学校・自治体・組織・家庭環境等で良好な人間関係を築く手法として評価されアメリカやカナダを始め世界62カ国で普及しています。
出典元;選択理論心理学

この選択理論心理学では、人を変えることはできない。人は自らが変わることができる。とされております。

外的コントロールと内発的動機付けの違い

従来の教育では、人は刺激を与えることで反応すると考えられていました。(外的コントロール)
しかし、選択理論(内発的動機づけ)では、人は情報を自らが選択して行動するとしています。

我々は、人を変えるのではなく、人が変わりたくなる情報を提供することしかできないということですね!

選択理論の原則
  • 私たちがコントロールできる行動は唯一自分の行動だけである。
  • 私たちが与えることができるもの、他の人から受け取るものはすべて、情報である。その情報をどう処理するかは、それぞれの選択である。
  • 長期にわたるすべての心理的問題は人間関係の問題である。

(出典;ビジネス選択理論能力検定3級公式テキスト)

私たちは、相手をコントロールできないことを受け入れる必要がありますね。さらに言うと、相手をコントロールすることは短期的には何らかの成果を手にすることができるかもしれませんが、長期的に見れば相手との関係を悪化させるだけで良いことはありません。

行動メカニズム5つの基本的欲求

先ほど、人は情報に対して行動を選択していると書きましたが、どのようにして行動を選択しているのか?という部分をお伝えします。

実は、人間は5つの基本的欲求を満たすために行動を選択すると言われています。

5つの基本的欲求とは

欲求 特徴
生存の欲求 健康や身の安全、長生きの願い、病気をしたくないといった身体に関する欲求のこと。
愛・所属の欲求 家族や友人や会社などに所属し、愛し愛される人間関係を保ちたいという欲求のこと。
力の欲求 何事かを成し遂げることにより、自分が価値あるものであることを確認したいという欲求のこと。
自由の欲求 束縛から離れ自立したいという欲求で、多くの収入を得て経済的に豊かな人生を送りたいという欲求のこと。
楽しみの欲求 義務感にとらわれることなく、自ら主体的に喜んで何かを行いたいという興味、関心、知的好奇心といったものに関する欲求のこと。

人の行動はこれらの欲求を満たすために選択されます。

ちなみにどの欲求が強くなるのかは生まれてから育っていく環境で決まります!

例えば、私は虫歯になるのを恐れて歯磨きをたくさんするのですが、これは生存の欲求が高いからです。生存の欲求が高いので、虫歯になりたくない気持ちが強いんですね。
この背景には、むかし虫歯になった時、治療されるのが怖くて痛かったという苦い経験があるからです。この経験は二度としたくないと思って歯磨きを念入りにします。

人はそれぞれ異なる上質世界を持っている

上質世界とは、自分の基本的欲求を満たすと思われる人、物、状況、理想、価値観、哲学などが入っている記憶の世界(イメージ写真)のことです。

例えば、甲子園を目指す高校球児を例に挙げましょう。
夏の甲子園に向けて努力を惜しまず毎日練習に励む人は、力の欲求が強いです。そして、自分の力の欲求を満たす上質世界(願望)のイメージ写真に、甲子園で活躍する選手のイメージや、試合で活躍して皆んなから賞賛された自分のイメージを持っています。

この甲子園球児は、誰に何を言われようとも、この自分の上質世界(=イメージ写真)が明確である限りそれを現実にしようと行動を選択します。めちゃくちゃ練習を頑張るわけですね。

イメージ写真が明確になれば、それを実現するために人は行動を選択します。

ここで大切なポイントは、人によって欲求が違うので、アプローチ方法が異なるという点です。

友達と過ごすことが好きで、おしとやかな性格の女の子に高校球児への指導法は通用しません。上質世界が違うからです。

今この記事を読んでいる親御さんも、子どものやる気を引き出して成績を伸ばして幸せになって欲しいと願う愛・所属の欲求を持っています。

そして、上質世界には将来の夢に向かって勉強する子どもの姿、或いは子どもの成績が良く親子関係も良好である理想の家族の姿がイメージ写真として入っていることでしょう。
この願望を実現させるためにこの記事を読むという行動を選択しています。

お母様
お母様
なるほど。うちの子どものやる気を引き出すには、子どもの欲求や上質世界を理解した上で最適な指導をしないといけないのね!では欲求や上質世界ってどうやって知るの?

そう思っている方もいるかと思います。

子どもに聞いてみて、5段階評価をしてもらうのも一つの手ですね。大人もやってみると良いです。生存の欲求は5、愛・所属の欲求は4・・・というように。

子どものスマホの待ち受け画面も参考になる

スマホを開いた時のホーム画面ですね。
ほとんどの人が自分の好きなものを待ち受けに設定しています。

サッカーが好きな子は理想のサッカー選手を待ち受けにしますし、友達や家族といるのが好きな人は集合写真なんかを待ち受けにしています。

子どもが主体的に動くためには、その子の上質世界(願望)を明確にしてあげる必要があります。願望が明確になれば、それを勉強とつなげれば大丈夫です。

嫌でも成績が上がります。是非、お子さんの欲求や上質世界を明確に把握することから始めましょう。
実際に私がやってきた具体例も紹介しますね〜。

実際にやったこと・具体例

実際に私が5つの基本的欲求と上質世界を意識して、勉強が嫌いな生徒を勉強に向かうよう促してきた話をしていきます。

シンプルに言うと、生徒は自分のなりたい姿のために勉強が必要になるならば、勉強に向かいます。
なので、夢や目標(上質世界)を明確にする→それと勉強をつなげる。という流れです。

ある中学生の男の子の話です。彼は勉強は嫌いで特に数学が苦手でした。サッカー部に所属していて、毎日YouTubeでサッカーの動画を見るほど大好きで、将来はプロのサッカー選手になれたらいいなと思っていました。

そんな時、私と出会いました。親御さんからは、ゲームをしたり動画を観ることばかりしていて、勉強をしないので勉強するように指導してほしいとのことでした。

受験まで1年ほどだったので、私も学力を伸ばそうと考えましたが、まずはその子の上質世界を知ることから始めました。

まぎれもなく、サッカーです。待ち受けも自分の好きなサッカー選手の写真にしていました。将来サッカー選手になることが夢だそう。(まだ実感がないようで自信はなさそうでした)
→上質世界の把握

しかし、彼は高校受験に対しては前向きではなく、勉強も嫌いだし高校はどこでもいいかなというスタンスでした。
なので、私は将来サッカー選手になれる可能性が1%でも高くなる高校に進学するのはどうか?と提案しました。

具体的に、どこのチームでプレーしたいのか、そのチームに行くためにはどこの大学を出る必要があるのか、その大学に行くためにはどこの高校に行く必要があるのか?ここを一緒に明確にしていきました。
→願望の明確化(具体的にすることで目標はイメージしやすくなる)

そうして、将来サッカー選手になるには、名門の高校に入って全国大会に出場して結果を出すことが必要だ、ということが固まりました。
→大人が夢を信じることが大切。無理かどうかは本人が決めること。

次に、一緒に高校を探すことにしました。高校全国大会はどこが強いのか。強豪校をいくつか用意して、ネットで校舎の風景やサッカー部の練習などを観ました。時にはサッカー部の見学にも行ってもらいました。

学力の高い強豪校を提案することがポイント!
学力が低いと勉強の必要がないので、夢と勉強がつながらないです。

そこで、この高校のサッカー部に入りたい!という志望校が見つかりました。その高校に入るためには勉強して偏差値を上げる必要があります。
なので、主体的に勉強をするようになり、サッカーの練習もするようになりました。
→夢と勉強がつながった

苦手だった数学も2ヶ月で18点から73点に伸び、結果的に志望する高校へ進学することができました。

このように、子どもの上質世界を知り、効果的なアプローチをすることで、勉強が嫌いな子でも勉強に向かうようにできました。

私は彼を変えてはいません。彼が変わりたくなる情報を提供しただけです。おかげで、人間関係も良好で受験を乗り越えることができました。

ぜひ、参考にしてください。

今回は行動のメカニズムについて解説しました。質問などありましたら、お問い合わせページから受け付けております。
宜しければ、他の記事もご覧ください。

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